AFTは、年金基金へのリスクを懸念し、上院に暗号資産法案の撤回を呼びかけ

米国教職員連盟（AFT）は、上院指導部に対し「責任ある金融イノベーション法案（Responsible Financial Innovation Act）」を撤回するよう求める書簡を送付し、この法案が投資家保護を弱体化させ、労働者の年金基金をリスクにさらすと警告しました。

AFTは、同法案が従来の証券に適用されてきた基準を廃止し、株式のトークン化による取引を現行規制の登録や報告なしで可能にする恐れがあると指摘しています。ランディ・ワインガーテン会長による書簡では、「本法案はデジタル資産に残されたわずかな保護策をも奪い、働く家庭を不必要な経済的リスクにさらす」と強調しています。

この警告は、上院での暗号資産市場枠組みに関する法案交渉が一層緊迫し、業界内の分裂や法案の見通しが悪化している兆候が見られる中で発せられました。民主党のコリー・ブッカー議員を含む一部議員は、最高裁がトランプ大統領にSEC・CFTCの委員を自由に解任する権限を認める可能性があることを受け、法案成立の機会がさらに厳しくなっているとしています—これは、法案が両機関への依存を難しくさせる要因となっています。

立法者の協議が続く一方、業界団体内でもDeFi管理方法、P2P取引の監督権、法案成立のために容認可能な妥協点などを巡り対立が表面化しています。一部の関係者は、受け入れがたい条項を受け入れるくらいなら法案が成立しない方が良いとさえ主張しています。

責任ある金融イノベーション法案は、SECとCFTC間の権限の境界を明確にし、取引所、ブローカー、カストディ、トークン発行者に対する連邦枠組みを整備することを目的とした上院の主要提案ですが、法的リスクや政局の変動を受け、今後の行方は依然として不透明です。