暗号通貨におけるTVLの理解:総ロックされた価値(Total Value Locked)とは何か、なぜトレーダーが気にするのか

DeFiに深く関わる際に、常に議論に登場する指標の一つが総ロックされた資産額、一般にTVL(Total Value Locked)です。この数値は、暗号資産の世界を理解しようとする人にとって不可欠な指標となっています。しかし、TVLとは具体的に何なのか、なぜトレーダーは注目すべきなのかについて解説します。

基本的に、暗号資産におけるTVLは、ユーザーが分散型金融(DeFi)プロトコルに預け入れたデジタル資産の総額を表します。これには暗号通貨、トークン、ステーブルコインなどが含まれ、さまざまなプラットフォームに分散して預けられています。この指標はDeFiの根本的な真実を捉えています。それは、これらのシステムに流入する資本の量が、ユーザーの信頼とプラットフォームの価値提供能力を直接反映しているということです。

基礎:暗号市場におけるTVLの構成要素

TVLは単なる一つの数字ではなく、より大きなストーリーを伝える複合的な指標です。TVLが何であるかを理解するには、ユーザーがDeFiプラットフォームに預け入れた資産の種類すべてを含むことを考える必要があります。これらの資産は複数の役割を同時に果たします。例えば、担保としての役割、取引の流動性提供、そしてファーミングによる利回りの獲得です。

TVLはDeFiエコシステムの財務的健全性のスナップショットと考えることができます。プラットフォーム全体でTVLが増加している場合、それは分散型システムへの信頼が高まっていることを示します。逆に、TVLが減少している場合、市場のセンチメントの変化や資本の再配置を示唆していることが多いです。

ほとんどのTVLの計測では米ドルが基準通貨として用いられます。これは、暗号資産の価値が絶えず変動するため、比較を標準化し、リアルタイムの動きに追随できるようにするためです。結果として、TVLは市場の動きとともに変動する動的な指標となります。

暗号資産のロックとリターンの仕組み

TVLの仕組みは、特にステーキングの台頭とともに進化してきました。従来の金融では預けた資金は放置されることが多いですが、DeFiではロックされた資産がネットワークの運用やセキュリティに積極的に貢献します。

ユーザーは自分のデジタル資産をスマートコントラクトにプールすることで参加します。このプロセスは、2010年代後半から2020年代にかけてDeFiの爆発的な成長とともに加速しました。資産を預けると、その資産は継続的に収益源となります。取引手数料、貸付金利、プラットフォームからの報酬などがステークホルダーに還元され、資本は引き続きプロトコルに拘束されたままです。

これにより好循環が生まれます。より多くの暗号資産がDeFiにロックされるほど、プラットフォームは貸付や取引、ファーミングの能力を高めることができ、インフラは強化され、リターンの機会も拡大します。理論上、ユーザーの関与が増え、TVLが高まるほど、より大きな取引量を吸収できる堅牢なエコシステムとなるのです。

TVLの計算方法:仕組みと具体例

TVLが何であるかを理解するには、その計算方法のシンプルさを知る必要があります。基本的な式は、すべての預け入れ資産の現在の市場価値を合計したものです。

TVL = 資産Aの数量(現在価格で) + 資産Bの数量(現在価格で) + …

この計算は、以下の4つのステップで行われます。

  1. 資産の特定:まず、特定のプロトコル内にあるすべての資産タイプをリストアップします。例としてはETH、USDC、DAIなどのトークンや暗号通貨です。

  2. 市場価値の評価:次に、それぞれの資産のリアルタイムの市場価格を調べます。暗号資産の価格は絶えず変動するため、正確な価格を把握することが重要です。

  3. 通貨への換算:すべての資産を一つの通貨(一般的には米ドル)に換算します。例えば、5000ETHと200万USDCを合計する場合、両者をドルに換算しなければ意味がありません。

  4. 合計:換算した値をすべて合計し、そのプロトコルの総TVLを算出します。

具体例:
あるプロトコルに5,000ETH(現在の市場価格約3,500ドル/ETH)と2,000,000USDC(1USDC=1ドル)を預けている場合、

TVL = (5,000 × 3,500ドル) + (2,000,000 × 1ドル) = 17,500,000ドル + 2,000,000ドル = 1950万ドル

この計算はシンプルに見えますが、正確な市場価格の把握や信頼できるデータソースの維持には複雑さも伴います。実際のTVL計算では、資産の流動性や価格変動を考慮し、実質的に利用可能な資本を反映させる必要があります。

市場の動きとTVLの示すもの

TVLは、暗号資産とDeFiエコシステムの動向を示す重要な指標です。そこから得られる洞察には次のようなものがあります。

センチメントの指標:TVLが増加している場合、市場の好調やDeFiプロトコルへの信頼感の高まりを示します。資本が継続的に流入しているなら、参加者はこれらのプラットフォームの収益性や将来性を信じていると考えられます。一方、TVLが減少している場合は、市場の懸念や資本の再配置を示唆します。

流動性の評価:DeFiの取引や貸付、ファーミングは十分な流動性に依存します。TVLが多いプラットフォームは深い流動性プールを持ち、大きな取引でも価格スリッページを抑えられます。これは、大口取引を行うトレーダーにとって重要です。

比較分析:TVLを使えば、競合する複数のプロトコルを比較できます。例えば、50億ドルのTVLを持つプラットフォームは、5億ドルのものより多くのユーザーと資本を集めている可能性が高いです。これにより、市場参加者がどこに集中しているか、またどこにチャンスがあるかを把握できます。

エコシステムの成長:DeFi全体のTVLを追うことで、分散型金融が主流に近づいているかどうかを測ることも可能です。総合的な暗号資産のTVLが増加しているなら、業界は成熟し、新規参加者を引きつけていると考えられます。逆に停滞している場合は、市場の飽和や熱意の低下を示すこともあります。

注意点:TVLだけではわからないこと

TVLは便利な指標ですが、いくつかの重要な制約もあります。特に、預けられた資本の量を示すだけで、実際の取引活動のレベルを示すわけではありません。

たとえば、TVLが高くても取引量が少なければ、資本はただ座っているだけで、継続的に価値を生み出していない可能性があります。これを見落とすと、TVLが高いからといって活発な市場だと誤解してしまう危険があります。

また、TVLはプロトコルの質やチームの能力、セキュリティ監査の有無、技術の優位性を反映しません。たとえば、TVLが多いプロトコルが古いコードや脆弱性を抱えている場合もありますし、逆に低いTVLの新興プラットフォームが最先端のセキュリティや革新的な機能を持っていることもあります。高いTVLに安心しすぎるのは危険です。

さらに、市場の状況もTVLの変動に影響します。主要暗号資産の価格が急落すれば、たとえユーザーの参加が変わらなくても、TVLは自動的に減少します。また、一部のプラットフォームでは、TVLの監査や価格データが古い場合もあり、実際の資本状況と乖離していることもあります。

したがって、トレーダーはTVLの更新頻度を確認し、複数の情報源を比較し、ガバナンスやセキュリティの履歴、ユーザー活動の指標も併せて調査した上で、単なる高TVLだけに頼らず判断することが重要です。

DeFiの未来とTVLの役割

TVLは、DeFiの規模や市場の信頼度を測る重要な指標ですが、それだけに頼るのは危険です。投資や取引の判断には、ガバナンス構造、セキュリティの履歴、実際の取引活動など、他の情報と併せて総合的に評価する必要があります。

最も成功するトレーダーは、TVLを調査の出発点としつつも、それだけに依存せず、より深い理解と調査を行うことで、表面的な数字以上の価値を見出しています。完全な情報に基づいた戦略を構築し、リスクを抑えながらDeFiの可能性を最大限に活用しましょう。

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