なぜPayFiはWeb3の新たな注目分野となったのか？この資金調達データがすべてを物語っている

Question

Web3投資市場全体が冷え込む中、唯一熱気を帯びている分野がある——Web3決済（PayFi）だ。

直近2ヶ月、このセクターだけで15件の資金調達が行われ、総額は2億ドルを超えている。そのうち11件は1件あたり3,000万ドル超で、2ヶ月間の大型資金調達の約40%を占めるという異常な状況だ。さらに凄いのは、これらの資金がVisa、Tether、JPMorganといった伝統的金融大手や、Sequoia、TemasekといったトップVCからも集まっていることだ。

ステーブルコイン決済は本物の生産力ツールに

データが何よりの証拠だ。2023年のステーブルコイン取引額は10.8兆ドルを突破し、実際の決済額は2.3兆ドル。すでに多くの伝統的決済システムを凌駕している。

資金調達ランキングを見れば明らかだ：

Bridgeは5,800万ドルを調達し、企業向けに国境を超えたステーブルコイン決済ソリューションを提供。SpaceXやCoinbaseも利用中
WSPN（グローバル・ステーブルコイン決済ネットワーク）はシードラウンドで3,000万ドルを調達し、自社ステーブルコインWUSDは1:1で米ドルに連動
SlingはシリーズAで1,500万ドルを調達、低コスト送金特化で50か国以上をカバー
他にもIDA、Kredete、PEXといったプロジェクトが数百万～数千万ドル規模で資金を集めている

AI時代到来、AIエージェントも支払いが必要

これは最も興味深い分野だ。CoinbaseのCEOは最近、Base上でAI-to-AIの暗号決済を発表——AIエージェント同士がUSDCで即時・手数料ゼロのグローバル送金を可能にした。SkyfireやPaymanといったAI決済スタートアップの背後には一流の投資機関がついている。

一見SFのようだが、これこそがPayFiの最終形だ：P2P送金からプログラマブルな金融エコシステムへと進化する。

PayFiの3つの実用シナリオ

Solana財団会長のLily Liuは「時間価値の貨幣化」というコアロジックを語った：

後払い・返済不要（Buy Now Pay Never） —— 従来の分割払いではなく、資金をDeFiで運用し、利息で支払いをする。お金でお金を生み、請求書を払う。

クリエイターの収益化 —— クリエイターが将来収入を割引して売却し、その場でキャッシュフローを得る。制作期間の資金ギャップを解消。

売掛債権ファイナンス —— 企業がオンチェーン決済で資金調達のスピードを上げ、ハードルを下げる。伝統金融なら数ヶ月かかることも、オンチェーンなら数日で完了。

真のリスクはどこにあるのか

しかし、この分野には3つの大きな壁がある：

技術と利用習慣 —— 多くのプロジェクトはKYCや地域制限があり、ユーザー基盤はまだ小さい
規制の不確実性 —— 国境を超える決済と資金移動が絡み、各国の政策変更が直接的にビジネス存続に影響
市場認知 —— まだ初期の探索段階であり、一般層への浸透は程遠い

なぜ今がチャンスなのか

根本的に見て、PayFiは3つのニーズを満たしている：

グローバル決済に、より速く安価なソリューションが求められている
DeFiは実利用シーンを必要としている（投機だけでは飽きられている）
企業顧客は、プログラマブルで透明・即時決済が可能な決済インフラを求めている

伝統的な決済システムは数十年運用されており、改革余地が大きい。PayFiこそがそのカギだ。

Huma、Credix、NX Financeのようなプロジェクトはまだ初期段階だが、実際の取扱高はかなり大きい（Humaはすでに約8.9億ドルの決済ファイナンスを処理）。これは市場ニーズが実在することを示しており、単なるコンセプトの投機ではない。

Web3が比較的静かな今、PayFi分野の活発さと資金流入の勢いは「大きな資金はすでにここに賭けている」という事実を物語っている。